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2019/08/11
「広瀬悦子ヴァイオリンリサイタル’65」好評発売中です
曲目
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ 変ロ長調 K.454
Mozart (1756 – 1791):Sonata for Violin and Piano in B flat major, K.454
J.S. バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第2番 ニ短調 BWV 1004
J.S.Bach (1685 – 1750):Partita No.2 in D minor, BWV 1004
イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ短調(本邦初演)
Ysaye (1858 – 1931):Sonata No.2 in A minor (Japanese premiere)
ラヴェル:ツィガーヌ
Ravel (1875 – 1937):Tzigane
アンコール
ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ 第4番 ニ長調 作品1の13 より
Handel (1685 – 1759):Sonata for Violin and Continuo No.4 in D major, Op. 1 No.13
半世紀ぶりによみがえる広瀬さんのライヴ録音に寄せて
今回の日比谷公会堂でのライヴ録音は、音楽コンクール優勝のちょうど10年後、フランス留学を経た二十四歳の広瀬さんの意欲的なプログラムによるリサイタルの記録である。モーツァルトは、盟友三浦みどりさんと息の合った溌剌とした演奏で、全体を通じ、古い録音ながらしなやかなボウイングと美しい音がしっかりと聴き取れるのがうれしい。
バッハの無伴奏は、感興に応じた緩急の幅も大きいが、全体の造形は確固として揺るがない。師シェリングの旧盤(1955年録音)のバッハに通ずるものを感じさせる。
フランコ=ベルギー派の巨匠イザイの無伴奏ソナタ第2番が弾かれているのも象徴的だ。ティボーにささげられたこの曲は、大ヴァイオリニストの作品だけあって最初から手によくなじんだそうである。日本初演とは思えない闊達な演奏である。
ツィガーヌは、師ブイヨンを通じたいわばラヴェル直伝である。初めて師の前で弾いたとき、楽譜にすべて書かれているので楽譜通りに弾くように注意されたというが、まさに手のうちに入った自在な演奏である。三浦さんのクリアなタッチのピアノも見事だ。
アンコールのヘンデルは、エネスコを思わせる美しいカンタレィーナに魅了される。
昇り調子の若き才能の勢いとフランコ=ベルギー派のヴァイオリンの美質を存分に味わえるこの記念的なコンサートの復活をよろこびたい。
元文化庁審議官 辰野裕一