「ビクター洋楽愛好家協会」は、当時のレコード界の九大権威が全国の愛好家を代表して選曲した名曲の頒布レコードで、昭和10年10月より毎月1枚ずつ頒布が開始されました。第1巻ではティボーとシャリアピンがこの名曲集のために吹き込み、特別に母型にサインをいれ、その価値を高めました。
予約者には演奏家のサインとメッセージの書かれた肖像写真がついたり、立派な一曲ごとの解説書が添付されました。
選曲した審査委員は以下の方々です。
柿沼太郎氏(音楽新潮)
牛山充氏(月刊楽譜)
野村光一氏(東京音楽協会)
野村あらえびす氏(レコード批評家)
山根銀二氏(音楽評論)
藤田不二氏(レコード音楽)
有坂愛彦氏(東京中央放送局)
青木謙幸氏(ディスク)
塩入亀輔氏(音楽世界)
今でも十分楽しめる選集です。是非お聞きになってみてください。
第1巻の目玉は何といってもシャリアピンが日本で録音したこと。
しかもこの年の暮れにシャリアピンは亡くなってしまったので、事実上これは最後の録音になりました。
世界のシャリアピンコレクターも欲しがる、”マスト・アイテム”。
まるで演劇のようなドラマチックな歌唱。聞き惚れます。
昭和11年2月、日本ビクター東京吹き込み所での様子。
レーベル写真の右上方にみえるシャリアピンのサイン。
すべてのレコードに刻まれています。
第1巻の内容は以下の通りです。
ヤッシャ・ハイフェッツ~アルパド・サンドール ピアノ伴奏
パガニーニ作曲 アウアー編曲:奇想曲 作品1~第24番
1934年2月21日録音
RL 1 ¥1,000(込)
エトヴィン・フィッシャー
ヘンデル作曲:組曲 第3番 ニ短調~前奏曲、主題と5つの変奏、プレスト
1934年8月28日ロンドン録音
RL 2 ¥1,000(込)
エイデ・ノレナ(S)独唱~ピエロ・コッポラ指揮 管弦楽団
ヴェルディ作曲:「ラ・トラヴィアータ(椿姫)」~第1幕 あゝそは彼の人か
1933年パリ録音
RL 3 ¥1,000(込)
ユージン・オーマンディ指揮 ミネアポリス交響楽団
シュトラウス(ヨハン)2世作曲:「こうもり」~序曲
1935年1月10日ミネアポリス録音
RL 4 ¥1,000
ワンダ・ランドフスカ(クラヴサン独奏)
ダカン作曲:つばめ
リュリ作曲:愉しき夢
シャンボニエ作曲:シャコンヌ ヘ長調 第116番、ロンド ヘ長調 第106番
1935年パリ録音
RL 5 ¥1,000(込)
プロ・アルテ四重奏団
ハイドン作曲:弦楽四重奏曲 第17番 ヘ長調 作品3-5「セレナード」
RL 6 ¥1,000(込)
フョードル・シャリアピン(Bs)独唱~ゴジンスキー ピアノ伴奏
ロシア民謡:ヴォルガの舟歌
ムソルグスキー作曲:のみの歌
昭和11年2月6日 東京録音
¥1,000(込)
グレゴール・ピアティゴルスキー~アイヴァー・ニュートン ピアノ伴奏
ウェーバー作曲~演奏者編曲:アダジオとロンド
フランクール作曲:ラルゴとヴィーヴォ
RL 8 ¥1,500(込)
レオポルド・ストコフスキー指揮 フィラデルフィア管弦楽団
バッハ作曲~指揮者編曲:トッカータとフーガ ニ短調
1934年11月26日キャムデン録音
RL 9 ¥1,000(込)
ウィルヘルム・ストリエンツ(B)独唱
~ザイドラ=ウィンクラー指揮 合唱団、管弦楽団
ベートーヴェン作曲:自然に顕る神の栄光
マーガレット・ペラス(S)独唱
~ザイドラ=ウィンクラー指揮 合唱団、管弦楽団
ヴェルディ:アヴェ・マリア
RL10 ¥1,000(込)
ジャック・ティボー~タッソー・ヤノプーロ ピアノ伴奏
ヴェラチーニ作曲 ソナタ ホ短調(J・サルモン編曲:メヌエット=ガヴォットとジーグ)
昭和11年5月27日神田今川橋 日本ビクター東京吹込所
エンジニア:楠本哲秀氏
RL11 ¥2,000(込)
予約した人に配布された、メッセージ入りの肖像写真。
あたかも、写真の上からの書かれたように見えますが、これは印刷。
全てのコピーに見られます。
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 ニューヨークフィルハーモニック交響楽団
ワーグナー作曲:「ローエングリン」~第1幕の前奏曲
1936年4月9日ニューヨーク録音
RL12 ¥1,000(込)
ご紹介したSPレコードは、古書センター9階富士レコード社にて、ご試聴のうえお買い求めできます。また地方の皆様には1枚からでもお送りできます。お尋ねください。